高学歴採用に走らないターゲット設定

「学歴」は応募者を絞ったり、判断したりするための重要な指標のひとつです。私も採用の現場に10年以上いて、企業の採用担当者の方とお話しさせていただく機会の中で、新卒で採用したい人材を聞くと「東大生○人、早慶○人」「文系はMARCH以上」「旧帝大クラス」「偏差値60以上」など学歴または偏差値が基準として挙げられることもよくあります。

在籍校が違うだけで、同じ時間に説明会予約画面を開いた2人の大学生が、一方は日程を選び放題なのに、もう一方は全日程満席だったというのも実際にあったこと。

学歴や偏差値は、合格基準を目指してインプットしたときにどの程度の成果を残せるのか?という実力などわかりやすいモノサシであることに間違いないでしょう。しかし、売り手市場が続いている状況で、他社からも引く手あまたな高学歴学生ばかりを求めた結果、採用したい学生に出会えなかった、辞退されたというのは避けたいですよね。

そこで、今回はいかにレッドオーシャンな高学歴だけに走らない取り組みができるか?ということについて具体的な方法をご紹介します。

社員の卒業校を調べる

まず簡単にできることは、自社の社員の卒業校を調べてみること。特に多い学校・学部や活躍している社員の学校・学部を把握しましょう。同じくらいの偏差値・在籍数の大学2つを比べても、A校出身の社員は非常に多いのに、B校出身の社員はほとんどいないということはあるので、社風と相性のよい校風というのは実際にあると思います。

挙がってきた学校や学部を眺めてみます。歴史やブランドイメージ、立地、施設環境、カリキュラムなどはどうでしょうか?「伝統がありまじめな雰囲気」「都心部の賑やかでオシャレな環境にあるキャンパス」「専門特化した知識が学べる少人数制の環境」「できたてほやほやの新設学部」などなど、会社のもつ雰囲気やカルチャーと共通するところはないか?という仮説を立ててみると、新たなターゲット校が見えてくる可能性は十分あります。

地方大学、専門学校についての知識を増やす

また、採用に積極的な企業は、よりターゲットを広げていくため、地方にある大学や専門学校についてアプローチしています。都心の有名大学から比べるとあまり知られていませんが、まさに事業分野に近いカリキュラムや、実践的な学習に力を入れている学校もあります。

  • キャリアセンターや学生の研究発表会に足を運ぶ
  • 事業分野の重なっている企業の経営者や人事担当者と情報共有をする
  • 学校周りをしている新卒採用支援会社の担当に、自社と合いそうな学校を聞く

このように、いろいろな方法がありますので試してみてください。
その上で、学校訪問や学内説明会への参加など、こちらから積極的に関係をつくりにいくことで、進路指導の先生、就活生同士や先輩後輩間の口コミで相性のよい学生に出会えるようになってきます。

仕事に必要な能力・志向をよく考えて人物像を考える

学歴とは別に、仕事内容から適性を考えて新しい基準をつくりだすこともできます。たとえば、とあるブライダル企業では、チームで連携して自分の見られ方も意識しながら当日の華やかな舞台をつくっていくという仕事の特性から、ダンス経験者を優先した採用を行っています。

情報発信力、影響力を求める企業はSNSのフォロワーの数を優先選考の基準としたり、選考方法として、運やプレースタイルを見るために麻雀やゲームを選考に取り入れたりする企業もここ数年でよくメディアに取り上げられるようになりました。その仕事に必要な「資質」についてぜひ選考に携わる人たち、教育する人たちで話し合ってみてください。

ターゲットを見直すと応募者の心も動く

これまで紹介してきたことをうまく活かしていくために、基本的なこととして自社で活躍できる人・活躍できない人の資質(能力・経験・志向)を関係者で話し合って具体的なイメージをつくる時間は大事にしたいもの。そのイメージを持って採用をすれば、スカウトするときにも「自分という人間をよく見て声をかけてくれた」「まさに自分の知識、強みを活かせて、やりがいを見いだせそうな仕事だ」と学生の心にも響きます。

多くのエントリーを求人広告から獲得することが主流だった時代から、ダイレクトリクルーティングへの注目が高まっている今、社会的にわかりやすいカテゴライズにとらわれない、より会社のターゲット設定が効果を発揮していきます。

高学歴にとらわれすぎて本来出会えるはずの学生に出会えていない気がするなら、ぜひ出会いたい学生の設定を変えてみてください。また、学校や学部も、そして企業も変わっていくので、決めた基準はどんどん振り返ってチューニングが必要です。

相性のいい会社・人材との出会いはどちらも幸せになります。一度、相性のいい学生と出会えるサイクルに入っていくと、その内定者のつながりから出会いがうまれて年々労力も軽くなります。ぜひ良い出会いをしてください。

ABOUTこの記事をかいた人

井上真里

慶應大学経済学部卒。東証一部上場富裕層向け住宅メーカーに入社し1年目から採用担当となる。その後、1万名を超えるITサービス企業へ転職してこれまで採用担当者として東証一部上場企業2社で、のべ6,000名を超える応募者の選考に関わり、2,000名以上の面接を経験。2011年5月、26歳で独立。個人向けに全国の女子大学生対象に就職支援を行い過去500名以上の卒業生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定。また、採用コンサルタントとして複数の企業の社外人事として携わるほか、社外キャリアアドバイザーとして社員のキャリアカウンセリングを担当。 著書:「就活女子のための就活迷宮から抜け出すトビラ」(TAC出版)    「敬語・マナー」(新聞ダイジェスト社)