【後編】「現役世代人口増加を学生の力で加速させる」市長直下の長期実践型インターンシップの取り組み

大阪府四條畷(しじょうなわて)市にて、2017年9月より外部人材として大学生を登用し、行政の枠組みに囚われず、変革を起こすことを目的に、半年に及ぶ長期実践型インターンシップが実施されました
なぜ四條畷市が「長期実践型インターンシップ」を選んだのかについてはこちらよりご覧いただけます。
地方創生の新たなモデルをつくる。 最年少市長がインターン生と描く地方市政の未来。 | キャリアバイト

今回は、初めての長期実践型インターンシップを経て、東市長と参加したインターン生3名よりお話を伺いました。インタビューの後半は長期実践型インターンシップ導入にあたり苦労した点、市役所での長期実践型インターンシップが学生に提供できるもの、最後には、今後の四條畷市の長期実践型インターンシップの展望についてもお話いただきました。
前半では、東市長より半年間の長期実践型インターンシップ実施における取り組みや具体的な成果についてお話頂きました。

【前編】「地方創生の新たなモデルを」市長直下の長期実践型インターンシップの取り組み

2018.09.25

長期実践型インターンシップ導入から成果を出すまでに苦労した点は?

ー長期実践型インターンシップの導入で苦労したことはありましたか?

東市長:主に2つあります。予算の確保と職員とのコミュニケーションの導線づくりです
予算の確保では、まず議員や職員の方々にインターンシップとは何かをご理解いただくところから始めました。インターンシップと聞くと、就職活動で実施されている、1dayインターンシップといったものをよく耳にするので、半年間の有給インターンシップというイメージを持ってもらう必要がありました。初めての試みにも関わらず、議員の方々ご理解を経て、認めていただくことができました。実施して半年を経たいま、今度はこの成果を発表して今後の予算確保ができるかどうかですね。この3人が十分に価値を発揮してくれているので、問題なく進められるとは思っています。(※2018年3月時点で3名の第二期生の採用を実施。)

また職員とのコミュニケーションの導線づくりでは、インターン生と職員が円滑にコミュニケーションを取れるように座席配置にこだわりました。始めは小さな一室を使用する予定だったのですが、これではインターン生と職員のコミュニケーションが生まれず、今回の取り組みが全く機能しないと判断しました。そこで、管理部局が集まるフロアの一角に、職員の方の理解と協力を得ながらなんとか座席を確保しました

その結果、市役所内でのコミュニケーションが盛んになり、職員・インターン生の協力関係が強固になり、成果を生むことが出来ました。市役所として、職員全員が初めからインターンシップというものを受け入れられたわけではなく、一緒に仕事をする中で根気強く関係づくりができたことで、組織の成長にも繋がったと思います。

市政に携わることで、市や市民に対して深く考えるキッカケに。

ーここまで長期実践型インターンシップの導入や具体的な取り組みについてお伺いして来ましたが、続いてはインターン生に、どんな気づきや学びがあったかお伺いします。

岩井さん:インターンシップを通してできない自分を知れたこと、同時に挑戦させてもらえる環境が無限にあると感じたことです。今回プログラミングを勉強しながらホームページを変えてみたり、SNSアカウントやブログを改善してみたりして、目的のために使える手段がまだまだたくさんあるので、そういったことは提案次第でもっと挑戦させてもらえる幅があると感じています。職員の方からフィードバックをいただける環境もあって、インターン生にとっては非常に価値がある場だと思います。

また、市民の方と関わる機会が本当に多いと感じました。市役所が何かするというよりは、市民の方の活動を市役所がバックアップするという形で動いていると知って、自分たちが何か実施しようという動き方ではなくて、いかに市民の方の声を聞いて実現できる姿勢でいられるかが大事なんだという気づきが大きかったです。あと、単純に楽しかったですね。こんなにも市のこと、市民の方のことを考えている職員さんがいて、しかも自分が思っていた以上に熱心で、すごく優しいんですよ市民の方もすごく優しくて、人と関わるってこういうことかと感じられたのがとても良かったです

藤岡さん:私は今まで、誰かがやったことを批判して意見を言うだけという姿勢が強かったのですが、このインターンシップを通じて、自分は何ができるかというのを考えるようになりました。市民の方の声を聞いて何ができるか考えた時に、その市民の方との近さが、企業で言えばユーザーとの近さで、こんなにユーザーからの声を元に改善できることってないなと、インターン生にもできることはどんどんやっていこうと思えました。しかも、税金を頂いて仕事をしているということを実感して、ここで得た経験を自分の将来だけでなく、世の中のために還元したいと感じています。

山口さん:市役所に限った話ではないと思いますが、組織の中で働くというのは、色々な制約があるので大変だなと思いました。1年分の予算が決まっているので途中で何か取り組みたいことを企画しても予算が組めない点、あとは「公平性の原則」の観点などですね。市役所は、全ての市民に平等に接する必要があることから特定の団体や個人に結果的に利益に繋がるような取り組みはできません。例えば、市のPRに繋がるという理由であったとしても特定の団体をバックアップすることはできません。このような行政独自のルールの中で、インターンシップに取り組むことが出来たのも、大きな学びになったと思っています。

また、このインターンシップで気づけたことは大きく2つあって、一つは動かないと何もわからないということですね。データだけ見ていてもいまいち分からなかったことが、市長の対話会に行き生の声を聞いたり、他の自治体の職員の方に聞いたりしたら、色々な情報を得られました。自分が持っているものだけでなくて、想像力を働かせて、手や足を動かして得られる情報がたくさんあることに気づきました。
もう一つは、そのあとの実行が何よりも難しいということですね。先ほどもお話した「公平性の原則」を意識して、多くの人を巻き込んでいく仕事の進め方は、これから行政の仕事を目指す人にはとても良い経験になると思います。私も、以前から行政に興味があったので、リアルな現場を見ることができて、自分が将来行政で仕事をする時にはどの立場で関わるべきかを再考できる機会になりました。

長期実践型インターンシップは現役世代人口増加実現への鍵となるか?

ー最後に、市の現役世代人口増加という目標に対してこの長期実践型インターンシップが繋がっている実感はありますか?

東市長:あります。市にとって、住んでいる人が誇りを持ってこのまちに住み続けたいと思うことが最高の状態です。そのゴールにたどり着くために、様々な道筋がありますが、四條畷は強みである地域力を生かして、市民の方を中心に、市民の方が提案した、市民の方が実行する道筋でここに至りたいのです。そのために、まずは市の新たな取り組みを知ってもらうことから始まります。その大きな第一歩をインターン生が踏み出してくれたので、このインターンシップは間違いなく目的である「現役世代人口の増加」へつながっています

ただ、それだけではなくて、職員が担っている99%の重要な仕事も全てもちろん活性化につながっています。それをわかりやすく認知拡大から成果を出すという面で力強くインターン生が踏み出してくれました。職員の中にも、これまでできていなかった1%の仕事をもっと挑戦していこうという流れができてきて、良い起爆剤にもなったと思います。

ー最後に、今後の展望について教えてください。

東市長:インターンシップはこれからも実施していきたいと思いますし、他の自治体にも広がるといいと思っています。公務員社会でもインターンシップをするのが当たり前になっていくと、インターンシップを経験した学生が職員として入ってくる流れができます。こういった流れ自体が公務員組織を強くする、ひいては日本の行政力を高めると思っていますから、インターンシップを導入した四條畷市として、そういうことを発信していきたいですね。それと同じく、四條畷市としては、初代のインターン生が道なき道を草をかき分けながら歩いて、やっと道が見えてきたところなので、第二期の方には勢いよく走ってもらいたいです。今回行ってきた情報発信や地域との交流だけではなく、ネクストステップとしてもっと政策に絡んできてほしいですし、違う形で活躍をしてほしいと思います。それが次の中期展望ですね。

そして10年後には、就職活動市場で四條畷市のインターン生であることがバリューになるような、インターンシップを作っていきます

ーありがとうございました。

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