【前編】「地方創生の新たなモデルを」市長直下の長期実践型インターンシップの取り組み

大阪府四條畷(しじょうなわて)市にて、2017年9月より、外部人材として大学生を登用し、行政の枠組みに囚われず、変革を起こすことを目的に、半年に及ぶ長期実践型インターンシップが実施されました
なぜ四條畷市が「長期実践型インターンシップ」を選んだのかについてはこちらよりご覧いただけます。
地方創生の新たなモデルをつくる。 最年少市長がインターン生と描く地方市政の未来。 | キャリアバイト

今回は、初めての長期実践型インターンシップを経て、東市長と参加したインターン生3名よりお話を伺いました。インタビューの前半では、東市長より半年間の長期実践型インターンシップ実施における取り組みや具体的な成果について、後半では長期実践型インターンシップ導入にあたり苦労した点を中心に、最後には、今後の四條畷市の長期実践型インターンシップの展望についてもお話いただきました。

【後編】「現役世代人口増加を学生の力で加速させる」市長直下の長期実践型インターンシップの取り組み

2018.09.25

インタビュイー紹介
東修平(あずま しゅうへい)市長
大阪府四條畷市生まれ。大阪府立四條畷高校、京都大学工学部物理工学科卒業、同大学大学院工学研究科を修了(専攻は原子核工学)。2014年に外務省へ入省し、環太平洋経済連携協定(TPP)をはじめ、貿易協定の交渉に関する業務に従事したのち、野村総合研究所インドに転職して、自動車業界のグローバル事業戦略・経営戦略の策定を支援。2017年1月15日に行われた四條畷市長選挙において初当選。全国で最年少の現役市長となる。

インターン生
神戸大学 法学部4年 山口真吾さん
同志社大学 スポーツ健康学科4年 岩井凌太さん
京都大学 法学部5年 藤岡亜季さん
※学年は2018年3月時点のものです

現役世代が移り住みたくなる四條畷市実現の一手に、長期実践型インターンシップを導入

ー本日はよろしくお願いいたします。長期実践型インターンシップの目的であった「現役世代(将来の働き手となる14歳以下の人口)の人口増加」に向けて、初めての長期実践型インターンシップはいかがでしたか。

東市長:「現役世代の人口増加」という公約を掲げており、その足がかりの一つとして、今回のインターンシップを実行しました。移り住みたくなる四條畷市の実現、全てここに繋がる活動をインターン生と取り組んで来れたと思います。具体的には、市の公式ホームページのアクセス数を分析して、「市長の部屋」という私のスケジュールや議事録、ブログなどを掲載しているページのPVを170%、市公式Twitterアカウントのインプレッションも900%まで成長させたり、ふるさと納税額を185%に増加させたりといった定量的な成果を着実に得ることができました。

その他、市民の方々との40万字に及ぶ対話の議事録・動画作成や、議員さんへのインタビュー作成、商店街の空き店舗調査など、職員だけでは実施しきれない、でも間違いなくやるべきと考えていたことを実行することができました

また、学生が実際に地域のイベントに参加したり市民の皆さんとお話したりして、自治会や地域の方がどんなことをしているのか、どんな思いで自分たちのまちを良くしようと思っているかを肌で感じてくれました。まさに現役世代である3人自身が、目的達成のための起爆剤として、始めの一歩になってくれたと確信しています。

ー学生ならではのアイデアと視点が大いに活かされたんですね。

東市長:現役世代人口増加という目標の実現のために、その対象世代であるインターン生の目線でまちの良さを発信してくれることは、狙い通り非常にマッチしていたと思います。四條畷市の良さは、一朝一夕には真似できない市民で作り上げてきた文化にあります。イベントが複数あったり、子どもの安心安全のために地域の人が見守りをしてくれている現状であったり、財政をやりくりしてできる政策では作れない強みが魅力です。

東市長:新たな居住先を探している人にとって、やはりそこに住んでいる人が「うちのまちいいよ!」と話していることが一番説得力があります。ただ、市の取り組みを知っている住民は意外と少ないんです。例えば、本市では中学校まで医療費助成が受けられるのですが、知らない人も一定数いらっしゃいます。実施するだけではなく、しっかりと発信して知ってもらうことが必要です。

インターン生が担う1%の仕事が四條畷を変えていく

ー冒頭でお話頂いた成果を出すためにインターン生は具体的にどんな取り組みをしたのですか?

東市長:市ホームページ改善では、まずはWeb解析ツールを入れて分析するところから実施してもらいました。Google Analyticsを入れて見たところ、例えば「市長の部屋」のページではPVは多いけれど直帰率が高いということからコンテンツ不足ということがわかり、私のブログの投稿数を増やしたりインターン生のブログのリンクを貼ったりすることで、直帰率を下げることができました。

また、Twitterの運用ではインターン生がまちを駆け回って市民の皆様の声を集めたり、まちのスポットを紹介したり、イベントの告知をしたり、とにかく現場に出て感じたことを発信していきました。その結果Twitterアカウント自体はインプレッションが900%、「市長の部屋」もPVが170%と増加しました。

東市長:また、ふるさと納税にも関わってもらっていました。まず、10月時点で25種類だった品目を12月には47種類まで増やし、それからお礼の品をわかりやすく魅力的に伝えられるようWebページのデザインの刷新やTwitterやインスタグラムでの発信をしました。その結果、10月〜12月の同時期納税額は前年比約185%となりました。

山口さん:お礼の品を増やすために、新商品を50品目以上提案しました。また、既存の商品でも実際に生産者の方や商品を提供してくださる方のところに足を運んで、商品の魅力を伝えられるコンテンツ作りをしました。

例えば、体験型の商品の中に、サーキットでのレンタルカート試乗があるのですが、それは実際に訪れて体験レポートを書いています。
四條畷市ふるさと納税(サポート寄附)お礼品を楽しく解説!「レンタルカート体験試乗」編

東市長:こういった取り組みは職員が普段の仕事と並行して行うには時間的にも内容的にも難しいので、インターン生ならではの仕事ですね。他にも、市のPRを目的としてFC大阪さんとの共同プロジェクトでAbemaTVの「FRESH」というプラットフォームを活用した「なわチャン!」という番組の企画から台本づくり、ディレクションまでインターン生の山口が担当したり、同じく藤岡が議員インタビューのプロジェクトを進めました。

藤岡さん:議員インタビューは、今の市政の見せ方をどうするかということを考えて発案したプロジェクトです。今回の目標としては、議員さん一人一人にフォーカスして想いや本音を伝えることで、市民の皆さんにとって議員さんの理解や信頼がより深まればと思っています。インタビューの項目としては、「市議会議員になった理由」、「現在の市の課題点と自分自身の取り組み」、「四條畷市の理想像をキャッチフレーズ付きでどうぞ」という3つの質問でインタビューしています。

岩井さん:商店街の空き店舗調査も行いました。これは商店街を活性化させようという提案をした際に、市長から「本当に空き店舗が多くてシャッター通り化しているのか、事実に基づいて考えて」というご指摘を頂き、まずは調査から始めました。商店街内にある全店舗の写真を撮って、その中にどんな店舗が入っていて、オーナーさんはどんな方で、どこの店舗の方が繋がっていて、賃料はいくらで何年間空いていて、ということを全て集約した地図を作成しました

東市長:商店街は空き店舗が多くて活性化しないといけないと思い込んでいる人が多いと思うんですよ。でも、こうやって調べていくと事実がわかるので、具体的な手が打てます。常に、クライアントファースト、すなわち市民にとって必要なことをする、そのためには必ず事実に基づいて市民に説明するということが求められます

他にも、12月に地域と市長の対話会というものを全18日程に渡って行なったのですが、これもインターン生が全て同行して、撮影と議事録をしてもらいました。1回あたり約2万字、計40万字ほどの議事録と動画を全てホームページに公開しています。ただ、これを職員が実施しようと思うと、通常業務もある中で1日中商店街の店舗を回る、議事録を取るというのは難しい。市が担う仕事の99%は、目に見えにくい仕事です。例えば、蛇口をひねったら水が出て、道路が整備されていて、などといった、確実に行われていかないといけないことが仕事の99%を占めていて、かつ一番大切な業務です。

そして、残りの1%にあたる、四條畷としての新たな挑戦や、市の取り組みの発信などを、インターン生が取り組んでいます。この1%によって、行政課題から地域のイベントまであらゆることを発信し、市民の皆さんにしっていただくことで、良い仕事をしてくれている職員の士気も高まります。


ー後半では、長期実践型インターンシップ導入にあたり苦労した点や市役所が学生へ提供できることなどを中心にお届けします。

【後編】「現役世代人口増加を学生の力で加速させる」市長直下の長期実践型インターンシップの取り組み

2018.09.25

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