【地方就活生にとって交通費は大きな障壁】学生の悩みから考える今後の採用活動

就職活動にかかるスーツ代やカフェ代、証明写真代の中でも、特に負担がかかるのが地方学生にのしかかる交通費問題です。優秀な学生を求めて人事が地方に出向き、説明会や選考会を開催することも増えましたが、それでもなお採用活動は都市部に集中しています。

これからの新卒採用活動で地方学生を含めて募集する場合、より多くの学生に出会うために交通費の問題はどの程度影響があるのでしょうか。18卒の就職活動の調査や、19卒学生の就職活動に対する意見を元に、就職活動の現状を知り、今後の採用活動について考えていきましょう。

1. 就活にかかる費用ってどのくらい?

学生は就職活動にかかる費用、特に交通費に頭を悩ませているとのことでしたが、実際どれくらいの費用をかけているのでしょうか。以下ではデータを用いて説明していきます。


出典:2018年卒 Vol.11 10月1日時点の就職活動調査 キャリタス就活2018 学生モニター調査結果(2017年10月発行) | 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

上記のグラフは就職活動費用の推移ですが、全体的に年々減少傾向にあります。単にかかる費用が減ったのではなく、景気の悪化に伴い学生自身が就職活動にかかる費用を抑えていると考えるのが妥当でしょう。
つまり、今後、交通費支給のある企業が学生に重宝されることが推測できます。


出典:2018年卒 Vol.11 10月1日時点の就職活動調査 キャリタス就活2018 学生モニター調査結果(2017年10月発行) | 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

こちらの円グラフは、学生が交通費をどこから工面したかを表しています。約50%の学生は親に出してもらったと回答しましたが、40%の学生は自分で工面しています。就職活動の時期は忙しく、アルバイトもなかなかできない中、就職活動にお金をかけるのはとても負担が大きいといえます。


出典:2018年卒 Vol.11 10月1日時点の就職活動調査 キャリタス就活2018 学生モニター調査結果(2017年10月発行) | 株式会社ディスコ キャリタスリサーチ

上のグラフでは、学生が就職活動にかける費用のうち交通費が一番割合を占めていることが分かります。18卒の学生の場合では費用全体の中で約46%も占めていました。
グラフの下の表では、地方別に就活生が就職活動にかける費用の平均を見ていきます。沖縄、北海道をはじめとした地方の学生は関東の学生と比べて、6万円も多く負担しています。都心から離れるほど交通費は当然増加しますがあまりにも大きい差額であり、関東と地方で就職活動のしやすさが変わってしまうのは深刻な問題といえるでしょう。

2.交通費支給の企業ってどのくらい?

次に、実際に採用活動でどれだけの企業が交通費を支給しているのか、データで見ていきましょう。


出典:2018年卒 マイナビ企業新卒予定調査 | 株式会社マイナビ

上記のグラフは、各採用フェーズの交通費支給企業の割合です。
このデータによると、セミナーや会社見学、一次選考などは自己負担とする会社が80%ほどを占めることがわかります。
学生の負担を考え、交通費を支給する会社もありますが、多くの学生が参加する母集団形成の段階で全員に負担するというのは難しいというのが実状のようです。

ここからは、セミナーや説明会、面接などで一部もしくは全額交通費を支給する企業の例を紹介します。

  1. パソナグループ
    パソナグループでは、特定のサイトから講演会に応募、参加した就活生に向け、都市部在住者の場合は1,000円、地方在住者の場合は3,000円を支給しています。
    条件は、今までパソナと接点のなかった就活生となっており、幅広く優秀な学生と接点を持つための取り組みだということがわかります。
    出典:株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー ※東京・大阪にて開催中※【トップセミナー】~業界の枠を越えた事業創造と成長の秘訣~
  2. 日立グループ
    日立グループでは、一律、もしくは二次面接以降で交通費を支給してくれたという就活生の口コミが、インターネット上に多く寄せられています。
    日立システムズでは、就活生への交通費支払代行サービスを提供しており、率先して学生に交通費を支給するという文化を創造していくことで、グループ全体としての売上推進となります。つまり、学生の満足度向上と商品のマーケット拡大を兼ねた施策であり、会社にとって非常にメリットが大きい施策であると考えられます。
    出典:交通費支払い代行サービス:株式会社日立システムズ

日立グループの事例のように、自社の事業領域とリンクさせる、もしくはオンライン上での接点を増やす等の施策により、学生の負担を減らしていけるように工夫できるといいでしょう。

3. 就活生が抱える就職活動費の悩み

以前、19卒の学生に、就職活動に関するアンケートを取りました。そこから、就職活動費、特に交通費に関する学生の悩みの声が多数あがりましたのでその一部を抜粋して紹介していきたいと思います。

地方で面接が受けられないこと、選考に交通費の負担がないのも困る。
あと、選考フローが多すぎる。5,6回面接に行くのは時間、費用共に負担である。
費用面が悩み。この要因のため「相談します、お話をしませんか」といったライトなお誘いには行かなくなった。
地方大学生にとって、費用面は大きな障壁となっていると思う。
面接会場が東京か大阪しか無いのに交通費をくれない事。地方の人は移動費や宿泊費が馬鹿にならない。
都市部の人しか採りたくないならエントリーシートで落としてほしい。こっちは1回都心に出てくるのに1万円以上かかるのに。
やっぱり東京の人は便利な思いをしていると感じる。地方だからというのをすごく感じる。イベントの回数など自分で足を運んでも、東京が圧倒的に恵まれてると思う。
あと、やはり費用がかかる。その分アルバイトが制限されてしまうし辛いです。また、合間の時間の過ごし方に困って、カフェとかに入るとまたお金がかかります。あと、合説の有名大だけ交通費支給もやめてほしい。私も国公立なのに、優遇されるかされないかは何が違うのかわからない。

参考)新卒スカウトサービス「iroots」 就職活動に関するアンケート(74名 回答)

これらの学生の声から、就活生の就職活動費、特に交通費に対する悩みが深いことがわかります。
企業にとっては、学生一人一人に交通費を支給することは大きな手間や支出になるため難しいことだと思います。

しかし、学生が興味を持った企業が遠方にある場合、交通費支給がないからという理由で説明会に行く前から諦める、という事態も起こり得るのが現状です。交通費を支給する企業、支給しない企業では、もちろん支給する企業の方が学生にとって優先順位が上がり、そのような企業はエントリー数が増加します。

企業の交通費支給の負担は増えますが、その分、優秀な学生や、自社に必要な学生に出会える可能性が広がります。また、エントリー数が増えるため、その他の採用活動にかける費用や工数は低減され、結果的に効率よく学生を集めることができるのではないでしょうか。

4. より多くの学生と出会うために

多くの就活生が、就職活動で必要な交通費を負担に感じていることがわかり、学生も費用を意識して、交通費が多くかかる企業の優先順位を下げる、そもそもエントリーをしない、などの工夫をしているようです。
とはいえ、多くの学生がエントリーする選考に、交通費を支給する事は企業にとっても大きな負担となります。

そのような状況下で、就活生と企業、双方の負担を減らす取り組みを始めている企業も出てきているので、ご紹介いたします。

  1. 株式会社リクルート
    株式会社リクルートはオンライン説明会を取り入れています。
    リクルートのサイトには「日本各地や海外にいらっしゃる方、お時間の都合がなかなかつかない方にもリクルートの説明会をご覧いただけるよう」とあり、どんな環境にいる人でも自社の魅力を伝えられるようになっています。
    出展:オンライン説明会動画を公開いたしました|リクルート 2019年度新卒採用サイト
  2. サイバーエージェント
    サイバーエージェントでは、地方からも優れた学生を集めるために、オンライン選考を始めとした取り組みを実施しています。
    これまで、エンジニア・クリエイター採用に限られていたオンライン選考を全職種に拡大し、Skypeを利用した面接を積極的に実施しています。
    出展:2019年卒 エンジニア採用 エントリー開始 | 株式会社サイバーエージェント

このような、オンライン説明会やオンライン面接は、近年増えつつあります。
学生がエントリーしやすい手段を活用することで、都市部・地方問わず、より多くの学生との接触ができるのではないでしょうか。

ABOUTこの記事をかいた人

中村さつき

株式会社アイタンクジャパンのインターン生。大学に入学してからはボランティアや救命法に打ち込む。趣味はバイキング巡り、お菓子作り。