企業のウリ、ちゃんと伝わっていますか?

自己PRと同じく重要な「企業PR」

売り手市場が続く状況で、自己PRの企業版「自社のウリや特徴をどう伝えるか?」ということが大切になっています。

採用活動で多くの企業の募集情報に触れていると「ああ、もっと伝わるのにもったいない・・・!」と思うこともよくあります。自社のことを客観的に伝えるのって意外と難しいもの。そこで今回は、「企業のウリ」を伝えるときの考え方をご紹介します。

STEP1. そのアピールは誰に伝えたいものなのか?

企業のウリを考えるときには、そもそも「誰にとって魅力に感じてほしいのか?」ということをすっ飛ばしてはいけません。「誰に?」というイメージがないまま考えても、応募はあるのに出会いたい人の応募は全然来ない・・・ということにもなりかねません。

たとえば、「リスクをとれる機動力がある人」に出会いたいときに安定の経営基盤があることをただアピールしても響かないでしょう。そういった人材には、最近立ち上げたプロジェクトや仕掛け人の姿を紹介するほうが魅力に感じられるはずです。

このように、「自社のアピールは誰に向けるものなのか?」という人物像をまずはっきりさせることはとても大切です。

STEP2. 採用の競合となる企業はどこなのか?

次にやっておきたいのが、採用活動で競合となるほかの会社をリサーチするステップです。

ほとんどの就職活動生は、就職活動で数十社の企業を見ています。採用したい人は、ほかにどんな会社を見ていて、その競合他社は何をウリにしているのか?といったことについても知っておくと、より自社のウリを際立たせるのに役立ちます。

就職活動生へのヒアリングやアンケートのほか、就職支援企業、また商品・サービスや事業でのポジショニングについては社内の営業や事業部長などへのヒアリングで見えてくることも多くあります。

STEP3. 自社のウリは何か?

伝えたい相手・競合他社との違い、といった視点を参考にしながら、自社のウリについて挙げていきます。

どうしても自分が気に入っていることに注目してしまいがちですが、次のような項目からウリを考えてみると、より広い視点で見つけることができるかもしれません。

【会社の特徴を見つけるチェックポイント】

会社の方向性事業内容
  • 企業理念・ミッション
  • 成長性
  • 企業ブランド
  • 経営計画
  • 事業の優位性
  • 事業の多様性
  • 仕事のやりがい
  • 商品・サービスの魅力
人や風土条件
  • 風土・カルチャー
  • 若手の活躍
  • 魅力的な社員
  • 経営者の魅力
  • オフィス環境・設備
  • 評価制度や給与
  • 福利厚生
  • 勤務時間や働き方

STEP4. 自社のウリが伝わる事実を洗い出す(例文つき)

「このポイントを伝えていこう!」と決まったら、具体的に応募者側からもわかりやすく納得できる事実やストーリーを洗い出します。数値で表せることは、ぜひデータを効果的に使ってみてください。

ここで、よく企業のアピールに使われているフレーズをどのように事実で表現していくのかを紹介したいと思います。

「若手のうちから活躍できます」

ベンチャー企業などに多く使われていることもあり、企業の魅力として差がつきにくいフレーズです。

こういったポイントを伝えたいという場合は
具体的に、
・新卒〇年目で
・どんな立場で
・何をしているのか
といった事例によってイメージがしやすくなります。

例1
新卒で入社して1年ごとに異動の希望を出して3年目の今では新規事業開発に携わっている社員がいる。
配属された環境で、任されたことに期待される成果を出しているので、やりたいことを応援している関係をつくれている。
まだまだポジションがあいていて、型にはまったキャリアステップがないので自分のやりたいことを切り拓いていける。
例2
新卒2年目で、数千万円の売り上げ規模のプロジェクトをリーダーとして担当している社員がいる。
クライアントは、日本で誰もが名前を聞くような業界トップの企業。
先輩から社内でアドバイスを受けながら、自分がクライアントのマーケティング担当者から直接要望を聞いて提案をしている。

「経営者が魅力的です」

経営者について話すときは、
・経営者のキャリアや価値観、性格
・影響を受けている風土や強い領域
について具体的に説明すると会社のイメージが伝わり、企業への共感が高まります。

例1
経営者はもともとソフトウェア企業のエンジニア。
今は経営に専念しているが、だからこそエンジニアの学習支援(資金・時間)への理解がある。
また開発に集中するためのスペースや、音楽を聴きながらの仕事、フレックスタイム、私服勤務など快適な環境でものづくりをするための環境が工夫されている。
例2
経営者は出版社出身。メディアに興味関心が強く、まだ日本でインターネットが盛んでなかった頃から、Webメディアの可能性を信じて新しいサービスを仕掛けてきた。
だからこそ常に先の未来を見据えて変化し続けることを大切にしていたり、違った意見を尊重する風土がある。

「右肩上がりで成長している」

成長性について話すときは、
・その会社の売上、利益のグラフ
・市場そのものの成長性
などについて数値を元にグラフや表などをつくって説明するとわかりやすく伝わります。


5年連続で売上の伸び130%以上であり、〇〇市場規模も毎年10%拡大しているので今後もますます成長が見込まれている。

「女性が働きやすい環境」

働きやすさというキーワードはいろいろな企業で使われているので、どういった意味で働きやすいのか?という視点を整理した上で
・女性管理職の割合
・産休、育休をとった社員、復帰した社員
・残業時間の平均
といった数値や具体的なストーリーを伝えましょう。


残業時間の平均は1日1時間未満。産休や育休をとる社員も多く、最近育休から復帰した社員は、ビデオ会議などを使って在宅勤務ができる仕組みをいまメンバーと一緒にチャレンジしている。

「社員の主体性を大事にしている」

やりたい仕事にチャレンジできる、といった言葉についても、イメージしやすいエピソードと合わせて伝えられるといいでしょう。
・制度と実際に活用されたエピソード
・評価の指標

例1
社内では新しい改善アイデアを考える機会を月に1回とっている。実際にそこで生まれた〇〇や〇〇というアイデアが社内で実行されている。社員ひとりひとりが会社をつくる意欲を大事にしている。
例2
店長試験に1年目からチャレンジした社員がいた。不合格ではあったが、その意欲が評価されて別の〇〇部のマネージャーから声がかかって今は異動して活躍している。

自社の魅力がいまいち伝わっていないなと感じたら、このようにステップを踏んで整理してみると企業のイメージがだんだんとはっきり・くっきり際立ってきます。言語化された企業の魅力は、採用に関わるメンバーに共有することもお忘れなく!

応募者は以前よりもずっと情報過多で、同じような情報には反応できなくなっています。企業のユニークな部分をもっと見つけて伝えていきませんか?

また、次の記事では、自社に内定承諾してもらうためのノウハウについてご紹介しています。ぜひご覧ください。

新卒採用で内定承諾をとる人事のコミュニケーション術

2017.08.02

ABOUTこの記事をかいた人

井上真里

慶應大学経済学部卒。東証一部上場富裕層向け住宅メーカーに入社し1年目から採用担当となる。その後、1万名を超えるITサービス企業へ転職してこれまで採用担当者として東証一部上場企業2社で、のべ6,000名を超える応募者の選考に関わり、2,000名以上の面接を経験。2011年5月、26歳で独立。個人向けに全国の女子大学生対象に就職支援を行い過去500名以上の卒業生が、大手企業・人気ベンチャー企業に複数内定。また、採用コンサルタントとして複数の企業の社外人事として携わるほか、社外キャリアアドバイザーとして社員のキャリアカウンセリングを担当。 著書:「就活女子のための就活迷宮から抜け出すトビラ」(TAC出版)    「敬語・マナー」(新聞ダイジェスト社)